「太陽フレア」って？
みなさんは「太陽フレア」って聞いたことありますか？
太陽フレアとは、太陽表面で起こる爆発現象のことです。この爆発は、磁気嵐（地球の磁場が乱れること）を引き起こし、地球や人類にも影響を与えることがあります。最近は、報道でも取り上げられることも多いため、ご存じの方も多いかもしれません。今日は、この太陽フレアについて、お伝えしたいと思います。
みなさんは、生活していて、太陽フレアがおきた、と直接気づくことはないでしょう。それでは太陽フレアがおきたことは、どのようにしてわかるのでしょうか。
太陽フレアが起きると、主に、X線や紫外線といった、目には見えない、目に見える光よりエネルギーの高い電磁波が増加します。実は、普通の大きさの太陽フレアが起きても、可視光（ヒトの目で見ることのできる光）で見ただけではわかりません。（ただし、太陽を直接肉眼で見てはいけません。）
しかし、人類が初めて観測した太陽フレアでは、可視光の増加が起こりました。といいますか、可視光の増加が起こったため、太陽で爆発が起こることがわかったということになります。イギリスの天文学者リチャード・キャリントンは、1859年、太陽の黒点観測中に、太陽表面に、光の強い部分を見つけました。この後、地球では地磁気の乱れ（磁気嵐）が観測され、低緯度でオーロラが観測されました。このフレアは、人類が観測した太陽フレアの中で最も強い太陽フレアであったと考えられています。
現在、太陽フレアの大きさは、アメリカ海洋大気局が運用する、GOESという気象観測衛星（日本の「ひまわり」に相当）に搭載された装置で測定した、太陽からのX線の量で表します。
気象観測衛星に、太陽観測の装置がついてるのは、意外ですね。しかし今後、「ひまわり」にも太陽を観測するセンサーを搭載することが、今月、報じられました。
太陽フレアの影響は？
小さい太陽フレア自体は、日々起きています。しかし、大きな太陽フレアは、たまにしか起きません。（これは、小さい地震はよく起きるけど、大きい地震はたまにしか起きないのに似ていますね）
それでは、太陽フレアは、どのようにして、地球に影響を与えるのでしょう？
いろいろありますが、太陽からの高エネルギー粒子などが地球に届くことで、地球の磁場の状態を変化させます。そのほか、放射線の量が増えたり、高層大気の状態が変わったりします。
その結果、送電線など電力設備の故障や停止、電波障害による通信・放送障害やGPS測位システムなどの不具合、人工衛星の故障や軌道乱れ、宇宙船や航空機搭乗員の被ばく量の増加などが起こります。
1989年には、太陽フレアにより、カナダで大規模停電が発生しました。
1991年には、日本の放送衛星の一部部品が故障し、放送時間が短縮されました。
2000年には、X線天文衛星「あすか」と通信ができなくなり、運用断念することとなりました。
2003年10月には、観測史上最大規模の太陽フレアが発生しました。ちなみにこれは、ハロウィーンの時期と重なったため、ハロウィーンイベントと呼ばれています。もし12月下旬に大規模フレアが起きれば、クリスマスイベントと呼ばれるようになるかもしれません。
最近は、2017年9月の太陽フレアは割と大きめで、大きく報道されましたが、特に被害は起こりませんでした。
それでも、最近は太陽フレアの報道が増えているように感じます。
総務省の検討会が出したこともあり、今年は太陽フレアが起きていなくても報道される機会もありました。
しかし他にも理由があるかもしれません。
2010年に、NASAとNOAA（アメリカ海洋大気局、日本の気象庁に相当）が Solar Dynamics Observatory (SDO) という太陽観測衛星を打ち上げました。これは、常に太陽全面の画像を2048×2048 ピクセルで、12秒間隔で撮影していています。つまり、この画像を使ってとても高精細な動画を作ることができ、しかも、基本的には撮り逃すこともありません。また、この観測装置では、10-30 nm くらいの波長の紫外線で観測していますが、これは太陽フレアなどの爆発現象が起こったときに綺麗に見える（ばえる）波長です。しかも画像は、撮影され次第、短時間で地上へと送られてきます。（衛星によっては、常には地上と通信することができず、撮影した画像を地上に送るまでに時間がかかるものもあります。）
テレビや新聞、最近はSNSでも、この観測衛星の画像が、太陽の画像としてよく使われています。もしかしたら、この観測衛星のおかげで、みなさんの興味を惹くようになった、ということもあるかもしれません。
2017年の太陽フレアは、このようにばっちり撮れています。
これからも太陽フレアに関する話を聞くこともあると思いますが、この綺麗な太陽を見つつ、地球に影響がないか、少し気にしてもらえればと思います。
執筆者紹介
づかっち
Twitter：@M_cairin
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